第5回1000人のチェロ・コンサート in 仙台 ②
- A n d a n t e
- 2015年6月2日
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チェロ初心者の私ですが、仕事と家事の合間に、宮沢賢治の作品の「セロ弾きのゴーシュ」のゴーシュのように夜な夜な練習。直前には目を皿のようにして精一杯練習しました。
あれだけの数のチェロの音色と音の振動の中に居たのです。ゴーシュのお話に出てくる動物たちの気持ちがわかったような気がしました。演奏者だけでなく、客席の方々の祈りが1つになったように感じました。
最後の曲を終えた瞬間に感じたこと。
それは、「被災者の方々に何かできた」ではなく、「私自身が救われた」でした。
東北は遠い地です。岡山県の私は地震も津波も放射能の被害も直接受けていません。
しかし、何もできなかったという罪悪感に長く苦しみ、津波映像の恐怖から悪夢を見ることもあり、
直接ではありませんが、私自身も被災者だったのでした。
仙台で復興を祈る1000人のチェロ・コンサートに参加したことで、私自身の心の傷が癒えたのでした。

1000人のチェロ・コンサートの翌日、有志のみでバスで被災地へ訪問して演奏する『東北キャラバン』に息子と参加いたしました。
4グループに分かれ、石巻市、多賀城市、山元町、女川の4つのルートで、私たちは山元町のグループに入れていただきました。22人のメンバーです。
山元町は約700名が亡くなられ、2300棟も流された町です。
始めは上記の写真の山下中学校での演奏でした。
息子と同世代の子供たち。恐ろしい津波を経験した子供たち。
演奏後は、子どもたちとの直接のふれあいの時間もあって、慣れて明るい笑顔が見られ始めた頃にお別れでした。黄色いハンカチが風になびく校舎の前で、子どもたちが一斉に大きく手を振ってお見送りをしてくれたのが印象に残りました。

次は、山元町の公民館での演奏でした。私はここでは理事の高橋先生と相談の上、本業のアロマセラピスト、精神科看護師として活動させていただきました。
短時間でも心と心の交流を図ることができ、リラックス効果も高いアロマ・ハンドトリートメントをさせていただきました。Andanteでお勉強してくださっている方もチェリストで同行してくださいましたが、ここではセラピストとしてお手伝いくださいました。また、偶然にメンバーの方のお嬢様がセラピストとわかり、お手伝いくださいました。

通常よりも非常に優しい手技のタッチケアを行いました。
震災当日の津波の恐ろしい体験もぽつりぽつりと教えて下さり、死を覚悟したことも。。。
伺うと、眠れない夜を過ごされていらっしゃる方がほとんどでした。
町は、知らなければ津波が町の3分の1を飲み込んだことが分からないくらい綺麗に整備されていて、「のどかだなあ」と思うほどに静かな美しい町でした。
しかし、目に見えない人の心はまだ復興はされていませんでした。
実は、仮設住宅住まいの被災者の方は、東北にまだ22人万人もいらっしゃるのだそうです。
報道で取り上げられなくなっただけで、まだまだ復興は現在進行中なのです。
アロマを受けてくださった方からは、
「チェロの音楽を聴きながら、いい香りで優しく触ってもらって気持ちがよかった」
「寝てしまいそう(眠れないと言われる方)」
「自分を大切にすることを忘れていました」
などのお声が聴かれました。
そして、みなさんで私たちのバスをお見送りしてくださいました。
「また来てください」と涙ぐんだ方も。。。
キャラバンのメンバーは全国各地から集まっていました。
鹿児島県の方もいらっしゃいましたし、仙台の方もいらっしゃいます。
みなさん、お仕事も持たれています。
でも、エネルギーをかけてでも被災地に訪問したいと集まった方々です。私もふくめて。
キャラバンの旅では、癒しをお届けできた以上に、やはり私自身が癒されました。
背負っていた罪悪感や無力感から一気に解放されたのです。
遠い地ですが、また山元町の皆様に逢いに行きたいです。
みなさんに、1日も早く安心して心地好くぐっすり眠れる夜が来ますように。
そして、1日も早く復興が進み、夜明けが来ますように。
ずっとお祈りしています。
Shizuyo Kawai
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